商売十訓

公正で公平な社会的活動を行え

昭和36年2月、第27回ゼミナールにあたり、倉本長治「商業界」主幹は、『商業界ゼミナール誓詞』を発表、商人の姿勢についてその基本的なあり方を示されました。その誓詞を斉唱しやすくまとめ直したものが、この『商売十訓』です。商業界のあらゆる集会のはじめに繰り返し読み上げられています。
倉本長治主幹は、昭和57年1月29日にご逝去されました。『商売十訓』は、主幹の遺訓ともいえるものです。

商売十訓

一、損得より先きに善悪を考えよう
二、創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三、お客に有利な商いを毎日続けよ
四、愛と真実で適正利潤を確保せよ
五、欠損は社会の為にも不善と悟れ
六、お互いに知恵と力を合せて働け
七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八、公正で公平な社会的活動を行え
九、文化のために経営を合理化せよ
十、正しく生きる商人に誇りを持て

解説

 自分はいつも公正であり公平であると思っている人は多い。
 多少のえこひいきや、欲目は認めるにしても、わざわざ不正や不公平を意識して仕事をしている人はないだろう。性善の説を信じる由縁である。
 しかし、怖いのは自分は絶対に公正であり公平であると信じていながら、実はかなり良くないことをやってしまっている場合だ。時には外からその良くない点を指摘されても、不可抗力を含めて、自分の正当性を頑固に主張してやまない人すらある。
 だれもが現代の通念から最も妥当な判断を下す基準、いわば社会的評価のもとでは、公正と公平について批判されるようなことのないよう、常に普段からのチェックを忘れてはならない。
 もっとも、労働基準法や公正取引の基準でさえも法の改正があるのだから、社会的公正というのは難しいものである。
 最近では、経営の努力不足が世間に比べて著しい不公平な結果をもたらしている例の一つに、労働条件がある。
 企業の中でも給与や労働条件の不均衡があり、同業他社との間にも格差が生じ、他産業との比較では大きな不公平が目につく。
 それでいて外国と比べると、名目上ではすごくいいようにも言われる。労働の問題一つでも、公平・公正な社会的活動ということは大変に重要であり、分かってはいても簡単には越えられない、難しいことだとは思わないか。

倉 本 長 治